
後継者へ事業をどう引き継ぐかは、いまや多くの事業者にとって身近な課題です。
許可の必要な事業を継ぎやすくする法改正が、ここ数年で相次ぎました。
建設業は令和2年、食品営業は令和3年、旅館業は令和5年。
かつては事業を継ぐたびに許可を取り直し、その間は営業できない空白が生じていましたが、条件を満たせば許可をそのまま引き継げる場面が増えています。
許可を引き継ぐメリットはたくさんあります。その話はまた別の機会に。
法改正により事業承継で許可が引き継げるようになったことを知らない人はまだまだ多く、承継を考えている方は是非一度お近くの行政書士にご相談ください。
建設会社を継ぐとき、宿を継ぐとき、町の食堂を継ぐとき。どれも「事業を引き継ぐ」ことに変わりはありません。ところが、役所に出す許可の継続手続きの呼び名は、業種によってばらばらです。あるものは「認可」、あるものは「承認」、またあるものは「届出」。同じ「継ぐ」なのに、なぜ言葉が違うのでしょうか。
業種による呼び方の違い
たとえば建設業では、事業を譲ったり会社を合併したりして許可を引き継ぐとき、「認可」(にんか)を受けます。旅館やホテルなら「承認」。飲食店などの食品営業許可は「届出」で済みます。
言葉の違いは、ただの呼び名の問題ではありません。許可を途切れさせないため、契約をいつ結ぶか、その効力がいつ発生するかという、実務上の手順に影響します。
食品営業の「届出」は、先に事業承継が成立して、あとから役所に知らせるいちばん身軽な形で食品営業許可を引き継ぐことができます。いっぽう建設業の「認可」や旅館の「承認」は、行政の認可が下りて初めて許可を引き継ぐことができるのです。
同じ事業承継でも、業種によってずいぶん勝手が違うのです。
「許可」と「認可」は、もともと別のもの
この違いは、行政講学でいう「許可」と「認可」という言葉の使い分けからきています。
許可とは、法律がいったん一般的に禁止していることを、行政庁が特定の人について解除する行為です。建設業でいえば、一定規模以上の工事を請け負うことを法律がまず一律に禁止したうえで、経営や技術の要件を満たした人に対して、その禁止を解除する。これが許可です。
認可とは、当事者どうしの法律行為――たとえば事業の譲渡契約――を前提として、行政庁がこれを補充し、その効力を完成させる行為です。認可を受けていない法律行為は、効力を生じません。ですから、契約を結んだだけでは足りず、認可が下りてはじめて、その契約は効力を持ちます。
建設業の事業承継で受ける認可が、まさにこれです
性質の違いが、進め方を左右する
同じ事業承継でも業種によって言葉が変わったりします。大事なことは、その性質を理解することです。
性質の違いで、手続きの進め方が変わり、うっかりするとせっかくある許可を引き継げなくなるかもしれません。
事業承継の場面で許可もそのまま引き継ぐ場合には、まず「これはどの性質の手続きなのか」を確かめておくと、あとの見通しが立てやすくなります。
次回は、契約をどのタイミングで結べばよいのか、という話をしたいと思います。
参考
【根拠条文】
・建設業法第17条の2、第17条の3(事業承継・相続の認可)
・旅館業法第3条の2〜第3条の4(営業者の地位の承継の承認)
・食品衛生法第56条第2項(許可営業者の地位の承継の届出)
【参考リンク】
・厚生労働省「生活衛生関係営業等の事業譲渡に係る手続の整備」
・長野県建設業許可について
・長野県食品営業許可
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