
※この記事は2026年6月時点の情報です。法律はまだ国会で話し合いの途中なので、これから内容が少し変わる可能性があります。
個人情報保護法という法律を変える案が、いま国会で審議されています。2026年5月に衆議院を通過していて、このまま夏までに成立する見通しです。ただし実際にルールが変わるのは、おそらく2028年頃。まだ2年ほど先の話です。
「先の話なら関係ないかな」と思うかもしれません。でも、今回の変更にはお店や小さな会社にも関わってくる内容が含まれています。今のうちにざっくり知っておくと、あとで慌てずにすみます。
そもそも、どんな事業者が対象なの?
「個人情報保護法って、大企業の話でしょ?」と思われがちですが、実はそうではありません。
昔は「お客さんの情報が5,000人分以下なら対象外」というルールがありました。しかしこのルールは2015年の法改正でなくなっています(2017年から適用)。
いまの法律で対象になるのは、お客さんの名前や住所などを「探せる形」で整理して、仕事に使っている事業者です。たとえば——
- パソコンに顧客リストが入っている
- お客さんにメールやDMを送っている
- ホームページの問い合わせフォームで連絡先を受け取って保存している
- 紙の名簿を五十音順に整理している
ひとつでも当てはまれば、お店の大きさに関係なく、もう法律の対象です。「うちは小さいから関係ない」は、残念ながら通用しません。
今回、何が変わるの?
変更点はいろいろありますが、身近なところを3つだけ紹介します。
① AIや統計のためなら、本人の許可なしでデータを使える場面が増える
「全体の傾向を調べる」といった、特定の誰かに影響しない使い方なら、本人の許可(同意)なしでデータを渡せる仕組みができる見込みです。国がAIの開発に力を入れていることが背景にあります。これは主に大企業向けの話ですが、世の中の流れとして知っておいて損はありません。
② 顔認証のデータは、扱いが厳しくなる
顔で本人確認をする「顔認証」のデータや、声・DNAといった体の特徴に関するデータは、逆にルールが厳しくなる方向です。「うちはこういう目的で顔のデータを使っています」とお知らせすることが義務になり、本人から「やめてほしい」と言われたら応じやすくする仕組みになります。出入口の管理などで顔認証を使っているところは、将来チェックが必要になるかもしれません。
③ 16歳未満の子どもの情報は、親の許可が基本になる
16歳未満の子どもの情報を扱うときは、子ども本人ではなく、親(保護者)の許可をもらうことがルールとしてはっきり書かれる見込みです。習い事の教室、塾、子ども向けのスポーツクラブなどをやっている方には、直接関係してくる話です。
「課徴金」——ルール違反したらお金を払う制度ができる
今回いちばん話題になっているのが「課徴金(かちょうきん)」という新しい制度です。
かんたんに言うと、「個人情報のルールを破ってもうけた会社は、そのもうけに相当するお金を国に払いなさい」という仕組みです。これまでは違反しても、よほどのことがないと罰せられませんでした。今後は「違反したもの勝ち」が通用しなくなる、ということです。
ただし、この制度はおもに悪質なケースを想定したものとみられます。ふだんからまじめに商売をしている方が、すぐに心配する必要はありません。それでも「個人情報の扱いに世の中の目が厳しくなってきている」という流れは、感じ取っておいたほうがよさそうです。
いま、何をしておけばいい?
新しいルールが始まるのは2028年頃の見込みなので、今すぐ何かを変える必要はありません。
ただ、いい機会なので「うちはお客さんの情報をどう扱っているかな?」と一度ふり返ってみることをおすすめします。
- ホームページに「個人情報の取り扱いについて」(プライバシーポリシー)のページがあるか
- 顧客リストの保管のしかたに決まりがあるか
- 従業員に「お客さんの情報は外で話さない」といった説明をしているか
こうした基本ができているかどうかは、法律の細かい話とは別に、お客さんや取引先からの信頼に直結します。
当事務所では、プライバシーポリシーや、個人情報の扱いかたを決める社内ルールづくりのお手伝いをしています。「うちの規模だと、何をどこまでやればいいの?」という素朴な疑問からで大丈夫です。お気軽にご相談ください。
参考
【根拠条文・法案】
・個人情報の保護に関する法律 第16条第2項(個人情報取扱事業者の定義)、第57条第1項(適用除外)
・個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案(2026年4月7日閣議決定、同年5月26日衆議院通過、参議院審議中)
【参考リンク】
・e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」
・個人情報保護委員会「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しについて」
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