こんにちは。長野県茅野市の行政書士、しらかば綜合事務所の高田賢一です。

今日は、経営者の皆様にとって、少し大切なお話をさせていただこうと思います。

これまで長きにわたり、中小企業の取引を守ってきた「下請法」が、令和8年1月1日から「中小受託取引適正化法(略称:取適法)」へと新しく生まれ変わることになりました。

「名前が変わるだけでしょ?」

「うちは下請法なんて、あまり関係ないかな」

もしかすると、そう思われている方もいらっしゃるかもしれませんね。

 正直に言いますと、今回の改正はこれまでの商慣習だから、とそのまま続けるとまずいもので、適用対象も驚くほど広がります。一度、改正内容をご確認することをお勧めいたします。
 諏訪の製造業はもちろん、運送業、そしてフリーランスの方とお付き合いのあるすべての企業に関わるお話です。

 施行まで、あと少し。今のうちに何を知っておくべきか。皆様と一緒に考えていきたいと思います。

なぜ今、「下請法」が変わるのでしょうか

「下請」から「パートナー」へ

 まず目がいくのは、法律の名前が変わることです。これまでの「下請」という言葉、どうしても上下関係のような響きが含まれていたように思います。

 新しい法律名の「中小受託取引適正化法(取適法)」では、「下請事業者」が「中小受託事業者」へ、「親事業者」が「委託事業者」へと呼び名が変わります。

 これは単なる言葉の変更ではありません。発注する側と受注する側は「対等なパートナー」なんだ、という強いメッセージなのだと思います。みんなで価値を高めていこう、という決意の表れかもしれません。

背景にある事情

 どうしてこれほど大きな改正が行われるのか。やはり一番の理由は、近年の物価上昇と人件費のことでしょう。

 材料費や光熱費が上がっても、立場の弱い側はなかなか「値上げして」と言い出せない。言えたとしても「協力値引き」で据え置かれてしまう。これでは中小企業の利益は圧迫されるばかりで、従業員さんの賃上げなんて到底できません。

 経済全体を良くするためには、古い商慣習を見直し、「コストが上がった分は、適切に価格に反映する」ことを当たり前にしていく必要があります。そのための道具として用意されたのが、今回の「取適法」なのです。

ここが変わりました。適用対象の拡大

これまでの下請法には、少し「抜け穴」のようなものがありました。「資本金」だけで対象を決めていた点です。

従業員数でも判断されるように

従来は資本金の額で区分けしていましたが、最近では資本金を減らして、実力はあるのに規制の対象外となっている企業もありました。

取適法では、今までの基準に加えて、新たに「従業員数」による基準が導入されます。具体的には、資本金が小さくても「従業員数が一定以上(例:300人超など)」の事業者は、発注側として規制の対象になります。

「うちは資本金が小さいから大丈夫」と考えていた地元の企業様も、新たに規制対象となるかもしれません。逆に、お仕事を受ける側からすれば、「守られる範囲が広がる」ということになります。

運送業の方もしっかりと

物流業界の「2024年問題」とも重なりますが、今回の改正ではトラック運送などの「特定運送委託」も、明確に保護の対象となります。多重下請けや、無理な価格の問題にも、しっかりと光が当たることになります。

実務において、知っておいていただきたい「3つのこと」

 今回の改正で一番影響があるのが、新しく強化される禁止事項です。知らずに違反してしまうと、勧告や社名公表なんてことにもなりかねません。

1. ちゃんと話し合うこと

これまでは「不当に低い代金」が禁止されていましたが、今度はもう少し踏み込みます。

「コストが上がったから相談したい」と申し出があった場合、発注側は必ず協議に応じなければならない、と義務化されます。

 もし無視したり、形だけの協議で一方的に価格を決めたりすると、それだけで違反となる可能性があります。

「いつも通りでいいよ」という事務処理は、これからは少し難しくなるかもしれません。

2. 手形払いは原則禁止に

長く続いてきた「手形取引」も、ひとつの区切りを迎えます。

 原則として、手形による支払いは禁止されます。ファクタリングや電子記録債権であっても、「60日以内に全額を現金化できないもの」は禁止です。

 つまり、長いサイトの手形などは使えなくなります。原則「全額現金振込」か、「60日以内の手形等(割引料は発注側負担)」しか認められません。

 発注される企業様にとっては、資金繰りの見直しが必要になるかと思います。「手形の期間で資金を回す」というやり方は、もう通用しなくなるようです。

3. 振込手数料のこと

細かいようですが、現場の方を悩ませてきた振込手数料の問題。

これからは、「振込手数料は発注者が負担する」ことが原則義務化されます。

たとえ契約書に「受託者負担」とあっても、無効になる可能性が高いのです。

 数百円のことですが、塵も積もれば山となる、です。経理システムの変更なども必要になるかもしれません。

事業者の皆様の、具体的な対応は?

 この大改正に向けて、私たちはどんな準備をすれば良いでしょうか。発注側、受注側、それぞれの立場から少し考えてみます。

【発注側】(仕事を出す側)

  • 資金繰りの再点検
     手形から現金へ切り替える準備はできていますか? 令和8年1月から、急に現金の出が早くなります。今のうちに銀行と相談しておくことを、強くお勧めします。
  • 契約書などの修正
     「振込手数料は受託者の負担」という言葉は、削除か修正が必要です。手形払いを前提とした条項も見直しておきましょう。
  • 協議のルール作り
     値上げの相談が来たときに、誰がどう対応し、どう記録するか。社内でルールを決めておかないと、現場の判断で断ってしまい、会社が責任を問われることになりかねません。

【受注側】(仕事を受ける側)

  • 協議の準備と記録
     材料費などが上がっているなら、恐れずに交渉を申し入れてみましょう。法律は味方してくれます。大切なのは「記録」です。いつ、誰に、どうお願いしたか。相手の反応はどうだったか。メールなどでも良いので必ず残してください。「言った言わない」にならないよう、備えることが大事だと思います。
  • 支払条件の確認
     今、手形で受け取っている代金について、「令和8年からは現金になりますか?」と聞いてみるのも良いでしょう。相手先が改正を知らない、なんてこともあるかもしれません。

もし違反してしまったら

 今回の法改正では、取り締まりの体制も強化されるようです。公正取引委員会だけでなく、それぞれの業界を所管する省庁も指導できるようになります。

 もし違反が悪質だと判断されれば、勧告や公表(企業名の公表)、罰金といったペナルティが科されます。

 何より、「ルールを守れない企業」と思われてしまえば、取引の停止や、採用の難しさにもつながりかねません。

地域での信用を第一とする諏訪の企業様にとって、それは一番避けたいことではないでしょうか。

令和8年は、もうすぐそこ。

 施行まであと少し。

手形から現金への移行や、交渉のルール作りは、一朝一夕にはできないものです。

 今回の改正は、決して中小企業をいじめるためのものではなく、「皆が適正な利益を得て、成長できるようにするための法律」なのだと思います。正しく理解して対応すれば、会社を強くするチャンスにもなります。

当事務所ができること

しらかば綜合事務所では、認定経営革新等支援機関として、ささやかながらお手伝いをしています。

  • 契約書のチェック:新しい法律に対応しているか確認します。
  • 価格交渉の準備:資料作成や、進め方のアドバイスなど。
  • 資金繰りや補助金:支払サイト短縮に伴う資金繰りのことや、補助金の申請など。

「うちはどっちの立場になるんだろう?」

「この契約書で大丈夫かな?」

少しでも不安があれば、お気軽にご相談ください。

法律という道具を使って、変化の時代を一緒に乗り越えていけたら、と思います。

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(事務所情報)
行政書士 しらかば綜合事務所 代表行政書士 高田賢一 
 (行政書士登録番号 第18150062号 認定経営革新等支援機関ID 107520000214) 
長野県行政書士会諏訪支部理事・支部IT部会長(任期~R9.5まで)
長野県茅野市北山3412-80

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