「家族が亡くなり、誰がどれくらい遺産をもらえるのか見当がつかない」
「これから遺産分割協議を始めたいが、基準となる数字がないと揉めそうで怖い」

大切な方を亡くされた悲しみの中、お金の話を進めるのは大きなストレスです。しかし、曖昧なまま進めることはトラブルの火種になります。

この記事では、遺産分割の「羅針盤」となる『法定相続分(ほうていそうぞくぶん)』について、図解を使って分かりやすく解説します。

1. 何よりも最優先されるのは「遺言書」の内容

計算に入る前の大原則です。民法で定められた割合(法定相続分)よりも、「故人が遺した遺言書」が最優先されます。

故人の意思尊重が第一

「全財産を長男に」「お世話になった人に預金を譲る」といった遺言があれば、原則としてその内容が優先されます。

まずは「遺言書があるかどうか」を徹底調査!

探すべき場所は主に2つです。

  • 公正証書遺言: 最寄りの公証役場で検索システムを使って確認できます。
  • 自筆証書遺言: 法務局、または自宅の金庫・仏壇・タンスなどを探します。
    ※法務局保管以外の自筆証書遺言は、開封前に家庭裁判所の検認が必要です!

遺言書があっても「話し合い」で変更可能?

相続人全員の合意があれば、遺言と異なる分け方も可能です。しかし、誰か一人でも反対すれば、やはり遺言書の内容が絶対となります。

また、最低限の取り分である「遺留分(いりゅうぶん)」にも注意が必要です(兄弟姉妹にはありません)。

2. 遺産分割協議の目安となる「法定相続分」とは

遺言書がない場合、遺産をどう分ければよいのでしょうか?ここで登場するのが「法定相続分」です。

法律が決めた「公平な」分け方の目安

これは「もし遺言がなければ、こう分けるのが公平だろう」という民法の基準(デフォルト設定)です。

誤解ポイント 💡
「必ず法定相続分の通りに分けなければならない」わけではありません。
全員が納得すれば、「母が100%」「長男が不動産」など、自由に分けてOKです。

それでも法定相続分を知っておくべき理由は、「話し合いがまとまらない時の最終的な着地点(ゴール)」になるからです。揉めて裁判になった場合、裁判官はこの割合を基準に判断します。

3. 【パターン別】法定相続分の完全ガイド

ご自身の状況に当てはまるパターンを確認してください。
※色は配偶者(青)、子(赤)、親(橙)、兄弟(緑)で分けています。

パターン①:配偶者と子供がいる場合

最も一般的なケースです。

配偶者 1/2
子供 1/2

計算のポイント:
子供が複数いる場合は、子供の取り分「1/2」をさらに人数で割ります。

【具体例】遺産4,000万円(妻・長男・長女)
  • 妻: 2,000万円 (全体の1/2)
  • 長男: 1,000万円 (残りの1/2を半分こ)
  • 長女: 1,000万円 (残りの1/2を半分こ)

※養子・非嫡出子(婚外子)も実子と同じ割合です。

パターン②:配偶者と親(直系尊属)がいる場合

子供がおらず、親が健在のケースです。

配偶者 2/3
親 1/3
【具体例】遺産6,000万円(妻・父・母)
  • 妻: 4,000万円 (全体の2/3)
  • 父: 1,000万円 (親の分1/3を半分こ)
  • 母: 1,000万円 (親の分1/3を半分こ)

パターン③:配偶者と兄弟姉妹がいる場合

子供も親もいない場合です。

配偶者 3/4
兄弟 1/4
【具体例】遺産4,000万円(妻・兄・妹)
  • 妻: 3,000万円 (全体の3/4)
  • 兄: 500万円 (兄弟の分1/4を半分こ)
  • 妹: 500万円 (兄弟の分1/4を半分こ)

※異母兄弟などの半血兄弟は、全血兄弟の半分の割合になります。

その他のパターン

配偶者のみの場合
配偶者 100%
配偶者がいない場合

優先順位の高いグループ(子→親→兄弟)だけで100%を山分けします。

4. 数字だけでは解決できない「修正要素」

実際の計算では、以下の要素で割合が増減することがあります。

特別の寄与(寄与分)

介護や家業の手伝いなどで財産維持に貢献した分を上乗せします。

特別受益(とくべつじゅえき)

生前に住宅資金などの贈与を受けていた場合、遺産の前渡しとして差し引きます

5. 行政書士に依頼する場合のフロー(流れ)

「手続きが難しそう」「親族とお金の話をしたくない」という方のために、当事務所にご依頼いただいた場合の一般的な流れをご紹介します。

Step 1 お問い合わせ・相談(5,500円/2h)

現在の状況をお伺いし、方針や費用の概算をお伝えします。「何から手を付けていいか分からない」状態でも大丈夫です。

Step 2 相続人の調査・確定(戸籍収集)

出生から死亡までの戸籍を集め、相続人を法的に確定させます。予期せぬ相続人が判明することもあります。

Step 3 相続財産の調査・目録作成

預金や不動産、借金などを洗い出し「財産目録」を作成します。これが話し合いの「地図」になります。

Step 4 遺産分割協議・協議書の作成

全員の合意が得られたら、中立な立場で法的効力のある「遺産分割協議書」を作成します。

Step 5 完了:名義変更の実行

預金の解約や不動産の名義変更(司法書士連携)を行い、相続手続き完了です。

6. まとめ:数字はあくまで「出発点」

最後までお読みいただきありがとうございます。

「法定相続分は、円満な解決のための
ツールに過ぎない」

実務の現場では、法定相続分の金額を意識しつつも、「誰が家を継ぐのが合理的か」「残された母の生活費はどうするか」という視点で柔軟に解決を図ることがほとんどです。

専門家が伴走します

相続は感情が絡み合い、ご家族だけでは冷静な話し合いが難しいこともあります。「法定相続分」という客観的な物差しと、「皆様の想い」の両方を大切にしながらサポートいたします。まずは無料相談をご利用ください。

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(事務所情報)
行政書士 しらかば綜合事務所 代表行政書士 高田賢一 
 (行政書士登録番号 第18150062号 認定経営革新等支援機関ID 107520000214) 
長野県行政書士会諏訪支部理事・支部IT部会長(任期~R9.5まで)
長野県茅野市北山3412-80

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