今日は、事業者様にとって少し大切なお話を。 GビズIDを補助金の申請(jGrants)、建設業許可申請(JCIP)や社会保険の手続きなどで、すでにご利用されている方も多いと思います。 このGビズIDに、2026年(令和8年)7月から「有効期限」が導入されることになりました。

「一度作ればずっと使えると思っていたのに」 そう思われていた方も多いかもしれません。 私もそう思っていました。 ですが、セキュリティをしっかりと守るために運用ルールが変わるようです。

 今回は、先日共有された最新資料に基づき、変更点の詳細と、なぜ「2年3か月」という期間なのか、そして皆様にしていただきたい対応について綴ります。
 ※デジタル庁から発表の資料に基づき作成しています。あくまで予定、ということですので変更される可能性もあります。

1. なぜ今、「有効期限」なのでしょうか?

 これまでGビズIDは、一度発行すれば原則として無期限で利用できました。 しかし、運用開始から5年以上が経過し、いろいろと課題も見えてきたようです。

代表者の変更や廃業

法人の代表者が変わったり、廃業されたりしても、アカウントがそのまま放置されているケースがあるようです。

不正利用のリスク

放置されたアカウントが悪意のある第三者に乗っ取られ、勝手に行政手続きを行われるリスクも否定できません。

 こうしたリスクを防ぎ、皆様に安心してIDを使い続けていただくために。 定期的に「ちゃんと使われているか」「ご本人がいらっしゃるか」を確認する仕組みとして、有効期限が導入されることになったそうです。

2. 対象となるアカウントと開始時期

 すべてのGビズIDが対象ではありません。ご自身のアカウントをご確認ください。

対象となるアカウント

  • GビズIDプライム(法人の代表者や個人事業主ご本人)
  • GビズIDメンバー(従業員様など、プライムが許可したアカウント)
    ※「GビズIDエントリー」はその性格上、対象外ですね。

いつから始まる?

  • 機能リリース: 2026年(令和8年)7月
  • 更新手続き: 2026年7月以降、マイページで確認・更新が可能になります。

すでにIDを持っている場合は?

「すぐに切れてしまうの?」とご不安になる必要はありません。 既存のアカウントについては、初回の有効期限は「2028年10月頃」に設定される予定です。 つまり、更新手続きをしなければならないときまで、まだ3年近くの猶予があります。

3. なぜ有効期間は「2年3か月」なのか?

 今回設定された有効期間は「2年3か月」です。 キリの良い数字ではなく、なぜあえて「2年3か月」という半端な期間なのでしょうか? ここからは、行政書士としての視点で少し解説します。

「2年」= 取締役の標準的な任期

 会社法において、取締役の任期は原則として「2年」と定められています。 (詳しく言うと、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで、ですが。) 中小企業では最大10年まで伸長できますが、原則はあくまで2年です。 代表者が変われば、当然IDの利用者も変わらなければなりません。 つまり、「法人の役員改選のサイクル」に合わせて、IDを確認する必要があるのです。

「+3か月」= 手続きの余裕期間

 では、残りの「3か月」は何でしょうか? 通常、決算から3か月以内に定時株主総会が開かれ、そこで役員が決まります。その後、法務局での登記申請を行い、登記簿に反映されるまでには一定の時間がかかります。

事業年度終了
↓(約2〜3か月)
定時株主総会(役員改選)

変更登記申請・完了

 この流れを考えると、「2年の任期」+「手続きに要する期間(約3か月)」をカバーする期間として設定されたのだと考えられます。 登記情報が新しくなったタイミングで、GビズIDの更新を行う。合理的です。

4. 更新手続きについて

時期が近づくと、登録メールアドレスやログイン画面でお知らせが届くようです。手続きはオンラインで行えます。

GビズIDプライムの場合

  • 手続き: 法人代表者(または個人事業主ご本人)に対する本人確認が行われます。
  • 方法: マイナンバーカードをスマホで読み取る方法などが想定されます。(当初作成時と同様の、しっかりとした確認です)

GビズIDメンバーの場合

  • 手続き: プライムアカウント(管理者)からの承認が必要です。 従業員の方が勝手に更新することはできません。管理者が「この従業員は現在も在籍している」と認めるプロセスになります。

5. もし有効期限が切れてしまったら?

「うっかり更新を忘れてしまった!」という場合でも、アカウント自体がすぐに消滅するわけではありません。

期限切れでできなくなること

  • Jグランツやe-Govなどの行政サービスへのログイン。
  • GビズIDメンバーの新規作成など。

期限切れでもできること

  • GビズIDマイページへのログイン(ここから更新手続きが可能です)。
  • 過去の申請データ等は消えません。 データは保持されますのでご安心ください。

【最大の注意点】

 データは消えませんが、「ログインできない期間」が発生することがリスクです。 「ようやく書類が揃って、締め切り日に補助金を申請」と思ったその日に期限が切れていたら、ログインができず申請に間に合いません。 更新手続きは、オンラインでも最短即日完了を見込んでいますが、書類申請などの場合は1週間程度かかることもあります。 いざという時に焦らないよう、余裕を持った更新が大切だと思います。

6. 今後のスケジュールと対策

今後の流れは以下の通りです。

時期と出来事

  • 2025年9月30日 有効期限導入に関する事前案内(済)
  • 2026年7月頃  有効期限機能リリース(確認・更新が可能に)
  • 2028年10月頃  既存アカウントの最初の有効期限到来

いま準備すべきこと

登録メールアドレスの確認
 お知らせはメールで届きます。担当者が退職して見られない、メールアドレスを変更していた、といったことがないよう、登録アドレスが最新かをご確認ください。

マイナンバーカードの準備
  更新手続きには、マイナンバーカードとスマホを使った認証が基本となります。カードの有効期限も合わせて確認しておきましょう。

社内ルールの整備
 「誰が更新作業を行うか」を決めておきましょう。特にIDを多く発行している企業様は、管理者が承認作業を行う必要があるため、管理体制が必要です。

7. まとめ:デジタル化社会の法人・事業主の「身分証」として

 今回の変更、少し手間が増えるように感じるかもしれません。 でも、GビズIDが「法人・事業者のデジタル身分証」として、より高い信頼性を持って運用されるための必要なステップです。 2年3か月という期間も、役員任期のサイクルとリンクした、実態に即した設定と言えます。

 当事務所では、建設業許可や各種補助金申請のサポートを行っております。 これらの手続きでもGビズIDの活用場面はますます増えています。

 「GビズIDの取得方法がわからない」「更新手続きに不安がある」「自社のID管理を整理したい」 といったご相談も承っております。

デジタル行政手続きのパートナーとして、諏訪地域の皆様の事業発展をサポートさせていただきます。 お困りの際はお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォーム

ご依頼及び業務内容へのご質問などお気軽にお問い合わせください

(事務所情報)
行政書士 しらかば綜合事務所 代表行政書士 高田賢一 
 (行政書士登録番号 第18150062号 認定経営革新等支援機関ID 107520000214) 
長野県行政書士会諏訪支部理事・支部IT部会長(任期~R9.5まで)
長野県茅野市北山3412-80

お電話でのお問い合わせ

諏訪地域(岡谷・諏訪・茅野・下諏訪・富士見・原村)のお客様専用ダイヤルです。
※地域外のお客様は、下部のフォームボタンをご利用ください。

090-9359-9772 タップして発信(時間外は留守電になります)

「はい、高田です」と私がでます。
「ホームページを見て電話しているのですが」
と言ってください。

⚠️ お電話に出られない場合

移動中などは留守番電話になります。お手数ですが以下の2点を録音してください。確認後、折り返しご連絡いたします。

  • お名前
  • ご用件(例:建設業許可の件で相談したい)

※営業・勧誘のお電話は固くお断りします。

諏訪地域外の方、またはメールでのご相談

お問い合わせフォームへ

Follow me!