「下請法」という法律をご存知ですか?

 事業を営む皆様にとって、取引の公正化はとても大切なことだと思います。 経営の安定に直結する、と言ってもいいかもしれませんね。

 製造業や建設業、そして最近増えてきたIT・サービス業。 どんなお仕事でも避けては通れないのが「下請法」です。

令和6年、この法律の運用に、少し大きな動きがありました。

手形サイトの短縮や、労務費転嫁の指針が変わったり。 実務にそのまま関わってくる変更です。

なぜ今、これほど厳しく言われるようになったのでしょう?

 昭和31年の制定から、現在に至るまで。 そんな下請法の歴史を紐解きながら、今、事業者の皆様に知っておいていただきたいことをお話します。

独占禁止法を補うために(昭和31年)

 下請法の歴史は古く、戦後の復興期まで遡ります。 昭和31年(1956年)のことです。

 力関係の強い親事業者が、下請けいじめをする。 支払いを遅らせたり、買いたたいたり。 昔から問題になっていたようですね。

 本来なら「独占禁止法」で規制されるべきことなのですが、認定には膨大な時間がかかってしまいます。 待っている間に、資金力のない事業者は倒れてしまう。 かといって、取引停止が怖くて声を上げることもできない。

「より簡易で、迅速に救済したい」

 そんな思いから、独占禁止法の補完法として制定されたのが下請法です。 資本金と取引内容だけで決める、画一的だけど分かりやすい仕組み。 今のルールの原点は、この時に生まれたようです。

時代にあわせた変化(平成15年ほか)

 半世紀近くの間、下請法は「町工場」を守る法律でした。 それが平成に入って、世の中が劇的に変わります。 「モノづくり」から「サービス・情報」へ。

平成15年(2003年)、歴史的な大改正が行われました。

それまでの製造や修理に加え、 「情報成果物作成委託」(ソフト開発など)と 「役務提供委託」(運送など)が対象になったのです。

 システム屋さんや運送屋さん、デザイン事務所なども守られるようになりました。 諏訪地域でも、こうしたサービス業の方が増えています。 恩恵は計り知れないですね。

 メールでの発注書面が認められたのもこの頃(平成12年)。 時代に即して、法律もアップデートされています。

令和の転換点(令和6年)

そして現在、下請法は新しいフェーズを迎えているようです。

条文そのものではありませんが、運用のルールが大きく変わりました。 特に令和6年の動きは、すべての事業者の方に知っておいていただきたい内容です。

① 手形サイトは「60日以内」に

長年、90日や120日まで認められていた手形の期間。 これが業種を問わず「60日以内」になります(令和6年11月から)。 これを超えると行政指導の対象に。

「業界の慣習だから」はもう通用しないようです。 資金繰りにも関わりますから、早めの確認が必要ですね。

② 「買いたたき」と言われないために

 原材料やエネルギー、人件費の高騰。 コストが上がっているのに、価格に転嫁できないのは辛いところです。

 これを受け、親事業者には「価格交渉の協議に応じること」などが強く求められるようになりました。 コスト上昇を無視して据え置くと、「買いたたき」とみなされるリスクも。 厳しいようですが、大切なことだと思います。

フリーランスの方を守るために

さらに、新しい法律も整備されました。フリーランス新法と言われています。 (正確には特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)

 下請法の枠組みでは守りきれなかった、個人事業主の方を守るため。 資本金に関わらず、取引条件の明示などのルールが適用されます。

 下請法の精神が、より多くの働き手に広がった。 そんなふうに言えるかもしれません。

下請法から取適法へ

 令和8年(2026年)1月1日から、「下請法」が改正され、「中小受託取引適正化法(通称: 取適法 とりてきほう )」として新たに施行されます。これにより、適用対象となる取引や事業者の範囲が拡大され、中小受託取引の公正化と受託側の中小企業の利益保護が強化されます。

適正な取引のために

 古い法律だと思っていた下請法も、時代とともに進化しているようです。 あらゆる業種の取引を適正にするため、法整備が進んでいます。

 親事業者様は、社内ルールの見直しが必要かもしれません。 下請事業者様は、堂々と交渉するために、法律を知っておくことが大事です。

 当事務所では、契約書のチェックや発注書面の作成支援、 そんなご相談も承っております。

「ウチの取引はどうなんだろう?」 「この条件で大丈夫かな?」

 ご不安な点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。 地域の専門家として、皆様の事業のお役に立てればと思います。

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行政書士 しらかば綜合事務所 代表行政書士 高田賢一 
 (行政書士登録番号 第18150062号 認定経営革新等支援機関ID 107520000214) 
長野県行政書士会諏訪支部理事・支部IT部会長(任期~R9.5まで)
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